キツネの絵をうたぐりぶかそうな目でみられる
やすむ部屋にいると、ホワイトボードに絵をかくようにせがまれた。
その子は、自分がすきな絵本のページをゆびさして、
こうやって絵をかいてもらうのがすきなのだ。
わたしはいわれるままに、サラサラっとキツネの絵をかいた。
その子は、かなりヘタクソな絵をうたぐりぶかそうな目でみる。
「えー!これがキツネ?」といっているような表情に、
わたしは目をそらしそうになったけど、
へいぜんとした顔でのりきった。
その子は、絵とページをみくらべて、やがてニッコリわらってつぎの絵をリクエストしてきた。
わたしの絵は合格したのだ。
そのあとも、へたうま、ではなくたんにへたな絵を、いやがることもなく、
むしろそのスピードをよろこんでくれたようにリクエストをつづけてくれた。
仕事をした気のする すてきな午後だった。
(吉田 淳)